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食品工場で温度一定を実現する方法|法令対応と品質安定を両立

なぜ温度一定が必要なのか?

労働安全衛生規則による法的義務と労働環境(快適性)

食品工場において「温度を一定に保つ」ことは、単なる品質管理の一環ではなく、法的な義務でもあります。厚生労働省の「労働安全衛生規則」第606条・607条では、屋内作業場での温度・湿度についての基準が定められており、事務所では18〜28℃、湿度は40〜70%以下に保つことが望ましいとされています。

特に食品工場では、調理機器の熱やクリーンウェア着用による体温上昇などにより、作業者の体調管理が重要です。高温多湿の環境は熱中症リスクを高め、従業員の生産性や安全性に直結します。

HACCP・食品衛生法に基づく温度管理と記録義務

2021年6月の食品衛生法改正により、すべての食品関連事業者に「HACCPに基づく衛生管理」が義務付けられました。この中で温度管理は、CCP(重要管理点)として位置づけられ、厳格な記録と保存が求められます。

例えば、冷蔵庫や冷凍庫の温度、加熱後の中心温度、冷却の速度などはすべて記録対象です。紙の帳票でもよいですが、最近ではIoTセンサーとクラウドを活用した温度自動記録システムの導入が進んでおり、記録ミスや人為的な誤りを防ぐことができます。

工程別:適切な温度目安と理由

加工・包装・盛り付けラインのおすすめ温度設定

食品工場では、工程ごとに適切な温度管理が求められます。特に包装や盛り付けを行うエリアでは、一般的に15〜20℃程度が理想とされています。この温度帯は、微生物の繁殖を抑制しつつ、作業者の快適性も保てるためです。

加熱処理後の食材を常温に長時間置くことは、食中毒の原因にもなるため、速やかに冷却ゾーンに移す必要があります。温度一定の管理は、この「滞留時間の短縮」とセットで考えるべきです。

食品種類別の温度基準例

  • 乳製品(ヨーグルト・チーズなど):冷蔵5℃以下
  • 魚介類の一次加工(刺身、干物):10℃以下
  • 精肉加工(ハム、ソーセージ):10℃以下
  • 冷凍食品:−15℃以下

これらの温度帯は食品衛生法や業界団体のガイドラインに基づいて設定されており、安全性確保に欠かせません。

温度を一定に保つための設備・システム導入

IoT温度管理システムと空調連携による自動化

最新の食品工場では、温度センサーと空調制御を連携させたIoTシステムが普及しています。センサーが温度を常時監視し、設定範囲から外れると自動でアラートを出したり、空調を制御することで、人手をかけずに温度一定を実現できます。

クラウド管理により、温度履歴をいつでも確認でき、HACCP監査時にも有効です。紙記録に比べて圧倒的に信頼性が高く、導入コストも近年では下がっています。

排熱・遮熱・換気・送風設備の具体策

温度を安定させるには空調だけでは不十分で、「排熱」「遮熱」「換気」「送風」が重要です。

  • 排熱:加熱機器の周囲に局所排気装置を設置
  • 遮熱:窓に遮熱フィルムや断熱材を活用
  • 換気:高性能換気扇で空気循環
  • 送風:シーリングファンで上下の空気を均等に

これらを組み合わせることで、季節変動や外気の影響を抑え、常に安定した室温を維持できます。

現場での実務対応と記録管理

温度計測・校正の頻度と記録保存方法

温度管理は「測る」「記録する」「保管する」の三段階が基本です。温度計は定期的な校正が必要で、目安として年1回の校正が推奨されます。

記録の保存期間は最低でも1年間。特定加工食品や輸出関連では3年以上求められることもあります。記録媒体は、電子・紙いずれも可能ですが、信頼性と利便性の観点からはデジタル管理が主流です。

常温滞留時間の短縮や緊急時の対応策

工程間で食材が常温にさらされる時間は、食中毒リスクと直結します。そのため、以下の工夫が効果的です:

  • 搬送ルートを短縮し、作業間の滞留時間を削減
  • 一時保管庫の温度を常に10℃以下に維持
  • 冷却装置の増設や冷風扇の活用
  • 停電など緊急時のマニュアル整備

中部空調サービスのご提案/導入事例

地域密着で岐阜・愛知・三重の導入実例

当社では、岐阜県・愛知県・三重県の食品工場に多数の空調・温度管理設備を導入してきました。ある冷凍食品工場では、−25℃の冷凍倉庫の冷却効率を改善し、電気代を15%削減した実績もあります。

また、包装エリアの温度ムラ解消のため、複数の温湿度センサーと空調制御を組み合わせたシステムを設計・導入し、HACCPの審査にも合格した事例があります。

HVAC入替と保守契約プランのご案内

中部空調サービスでは、食品工場向けに以下のソリューションをご提供しています:

  • 空調設備の入替・新設工事(全館空調・局所空調)
  • 年次点検・フィルター清掃などの保守契約

まとめとご案内(CTA)

食品工場における「温度一定の管理」は、法令対応と品質維持の両面で不可欠です。適切な温度管理により、従業員の安全、食品の安全、そして顧客からの信頼を得ることができます。

中部空調サービスでは、地域密着の提案力と実績で、最適な空調環境をサポートいたします。

ご相談やお見積りはお気軽にどうぞ。まずは中部空調サービスにご相談ください。

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