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霜取り運転って何?冬場のエアコン使用時に知っておきたいこと

冬場、オフィスや店舗、工場などで業務用エアコンを使っていると、急に暖房が効かなくなったり、エアコンの風が冷たく感じることがあるかもしれません。このような症状が出ると、多くの方は「故障ではないか?」と心配されるでしょう。しかし、これは故障ではなく、業務用エアコンが行う「霜取り運転」による一時的な停止です。今回は、業務用エアコンに限定して、この「霜取り運転」とは何か、またその仕組みや対策について詳しく解説します。

霜取り運転とは?

業務用エアコンにおける「霜取り運転」は、室外機に付着した霜を自動的に溶かす機能です。特に冬場は、低い外気温と高い湿度の影響で、室外機の熱交換器に霜がつきやすくなります。この霜が蓄積されると、エアコンの暖房効率が低下し、場合によっては空調が止まってしまうこともあります。

そこで、霜取り運転が作動し、室外機の熱交換器を暖めて霜を溶かし、通常の暖房運転が再開されます。この機能により、業務用エアコンは冬場でも安定した暖房効果を維持することができます。


業務用エアコンの霜取り運転の特徴

業務用エアコンは、一般家庭用エアコンに比べて規模が大きく、複数の室外機や大型の熱交換器を備えています。そのため、霜取り運転が行われる際も、より広範囲にわたって霜が溶かされる必要があります。このため、業務用エアコンでは霜取り運転が行われる時間が比較的長く、頻度も高くなる傾向があります。特に、商業施設やビル、工場など、広範囲を一度に暖める場合は霜取り運転が数十分にわたって行われることもあります。

霜取り運転中は、一時的(10分~20分)に暖房運転を止めて室外機のみ運転を行い、霜を溶かします。霜が溶けたら水となり室外機下部より流れ、室外機周りに水が溜まる状態になります。この一連の動作は、システム上必ず行われるため、故障ではありません。

また、室外機から白い煙が出ていると問い合わせがありますが、この事象も霜が溶かす際に発生する湯気で、こちらも故障ではありません。この湯気は霜が溶けるまで出続けるため、5分~10分程度かかります。

霜取り運転中は、エアコンの「運転ランプ」が遅い点滅に切り替わり、室内機と室外機のファンが一時停止します。この状態では、暖房が一時的に停止し、エアコンから暖かい風が出なくなります。また、室内機から「シャー」や「プシュー」といった冷媒が流れる音が聞こえることもありますが、これは正常な動作であり、故障ではありません。

霜取り運転が完了すると、通常4~15分程度で暖房運転が再開されます。しかし、これ以上の時間がかかる場合や暖房が再開しない場合は、エアコンの故障が疑われるため、専門業者による点検が必要です。


霜取り運転の頻度を減らすための工夫

霜取り運転はエアコンにとって重要な機能ですが、その頻度を減らすことで業務用エアコンの効率を向上させ、暖房が止まる時間を短縮することが可能です。以下は、霜取り運転の発生を減らすために考慮できるいくつかの方法です。

・室外機周辺のスペースを確保する

室外機の周りに障害物があると、風の通り道が塞がれ、霜が付きやすくなります。室外機の周辺に十分なスペースを確保し、風通しを良くすることで、霜の付着を減らすことができます。

・定期的にフィルターを掃除する

室内機のフィルターが汚れていると、エアコンの効率が低下し、霜取り運転が頻繁に行われることがあります。定期的にフィルターを清掃し、エアコンが効率的に運転できるようにしましょう。

・高性能な寒冷地用エアコンを導入する

寒冷地での使用が多い場合、寒冷地対応の業務用エアコンを導入することが有効です。これらのエアコンは、低温環境下でも霜が付きにくい設計になっており、霜取り運転の頻度を減らすことができます。

・外気温との差を小さくする

エアコンの設定温度をやや低めにすることで、室外機と外気の温度差が小さくなり、霜が付きにくくなります。無理なく暖房を効かせるために、設定温度を調整することも一つの手です。


霜取り運転中の注意点

霜取り運転中に、業務用エアコンに水やお湯をかけて霜を溶かそうとするのは絶対に避けてください。これは、エアコンの部品が損傷する恐れがあるためです。また、霜取り運転が頻繁に行われている場合や、室外機から異常な音が聞こえる場合は、早めに専門業者に相談し、適切な点検や修理を行うことが大切です。


まとめ

冬場の業務用エアコンにとって、「霜取り運転」は不可欠な機能です。室外機に霜が付くと暖房効率が低下してしまいますが、霜取り運転により霜を自動的に溶かし、エアコンの性能を維持します。運転中に暖房が一時的に止まったり、冷たい風が出たりすることがありますが、これは故障ではなく正常な動作です。霜取り運転は通常4〜15分で完了し、その後は再び暖房が再開されます。

霜取り運転の頻度を減らすためには、室外機周辺のスペースを確保することや、フィルターの清掃、寒冷地対応エアコンの導入が有効です。また、エアコンの設定温度を適切に調整することで、霜が付きにくくなり、より効率的に暖房運転を行えます。

もし霜取り運転が頻繁に起きたり、長時間にわたり暖房が再開しない場合は、エアコンに異常が発生している可能性があります。点検や修理が必要な際は、中部空調サービスまでお気軽にお問合せください。