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病院・クリニック

病院における空調衛生管理の徹底ガイド:法規制から実運用まで

はじめに

近年、医療機関における院内感染対策や快適な療養環境の実現が求められる中、病院における「空調衛生管理」の重要性が高まっています。特に新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)を契機に、換気・空調設備の見直しが全国的に進められました。この記事では、病院やクリニック、公共医療施設などにおいて求められる空調衛生管理の基準や運用ポイント、最新技術、そして実例を交えて詳しく解説します。


1. 病院における空調衛生管理の法的基準と背景

医療法・建築物衛生法における空調の位置づけ

医療機関の空調管理は、以下の法律・制度に基づいて実施されています:

  • 医療法 第20条・第23条:療養環境を確保するため、適切な空気環境を維持する必要があります。
  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法):延床面積3,000㎡以上の建築物に対し、空気環境測定や維持管理が義務付けられています。

また、日本医療福祉設備協会のガイドライン(HEAS-02-2013)も、病院空調設計・管理の技術指針として広く活用されています。

病院空調設計・管理指針(HEAS)とは

日本医療福祉設備協会が発行する「病院空調設備設計・管理指針(HEAS)」は、

  • 温湿度・換気量の基準
  • 部屋ごとの気圧差設定(感染症病室など)
  • フィルタ清掃や機器点検の周期

など、院内空気環境を維持するための具体的手法を網羅しています。


2. 実態調査から見える課題とリスク

実測データに見る空調環境の課題

複数の病院で実施された空気環境調査では、以下のような問題が確認されています:

  • 冬期の湿度低下(30%未満)によるウイルスの活性化
  • 夏季の二酸化炭素(CO₂)濃度の上昇(1,000ppm超)
  • 浮遊粉じん濃度が0.15mg/m³を超過する病室

これらは患者の快適性を損なうだけでなく、感染リスクの増加にも直結します。

COVID‑19を契機とした見直し

パンデミック以降、換気不足がクラスター発生要因の一つとされ、多くの医療機関が

  • 機械換気の増強
  • 換気設備の常時稼働
  • CO₂センサの設置

などに取り組むようになりました。


3. 空調設備の運用管理で押さえるべき基準と手法

基準値(厚労省・医療福祉設備協会など)

項目推奨基準
温度20〜28℃
湿度40〜70%(冬期でも40%以上推奨)
CO₂濃度1,000ppm以下
浮遊粉じん0.15mg/m³以下

これらの数値は定期的に測定し、基準を外れる場合は原因特定と対処が必要です。

運用ポイント

  • 空調機フィルタの定期洗浄(3ヶ月毎など)
  • 加湿器の水質管理(レジオネラ対策)
  • 冷温水配管・ダクト内の定期点検
  • 圧力差測定による空気流向の確認(陰圧・陽圧)

これらは内部保守のプロフェッショナルだけでなく、外部業者との連携で効果的に実施できます。


4. 感染対策と空調衛生工学の高度化

院内感染を防ぐ空調設計

特に手術室、陰圧室(結核など)、無菌室(造血幹細胞移植)では、以下のような高度な空調設計が不可欠です:

  • 垂直下降流方式(層流)による清浄化
  • 二系統空調で感染リスクのある部屋を分離
  • HEPAフィルタやUV-C殺菌照射の導入

これらは初期投資が大きくとも、長期的な感染リスクと運用コストの低減につながります。

最新技術の活用

  • CO₂/湿度/粉じんセンサの常時計測
  • BEMS(Building Energy Management System)による自動制御
  • 空気の流動設計(CFD解析)を用いた換気最適化

これらは大病院だけでなく、100床未満の中小クリニックでも有効に機能します。


5. 岐阜・愛知・三重の病院向け実運用のヒント

空調点検のすすめ

中部地域でも、老朽化した空調設備により「冷暖房は効くが換気が不十分」という施設が少なくありません。以下のタイミングで点検を行いましょう:

  • 建築後10年以上経過
  • 感染症流行期にCO₂が高くなる
  • フィルタやダクト内の臭気が気になる

当社では、これらの課題に対して無料の現地調査・診断サービスを実施しています。

安心して任せられる空調会社選び

  • 医療機関の施工実績があるか
  • 設計〜保守まで一貫対応可能か
  • 感染対策のノウハウを持つか

これらを確認することで、施設の衛生環境を長期的に維持できます。


6. 成功事例と改善フロー

成功事例紹介(中小病院:愛知県)

  • 事例:築20年の病院でCO₂濃度が基準超過
  • 対策:機械換気ユニット導入・ダクト洗浄・自動制御センサ連動
  • 効果:CO₂濃度が常時800ppm以下に安定、患者満足度も改善

空調衛生管理フロー

  1. 現状診断・計測(CO₂・湿度・温度)
  2. 設備設計の見直し(必要に応じて改修提案)
  3. 定期点検・清掃の実施(フィルタ・加湿装置)
  4. 定常監視とフィードバック改善

まとめ

病院やクリニックにおける空調衛生管理は、単なる「空調機の入替」ではなく、感染対策・快適性・運用コストの3点を同時に満たす高度なバランスが求められます。

まずは現在の状況を正しく把握し、信頼できる専門業者と連携することが、将来的な安全性と患者満足度向上への第一歩です。


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