楽しいより、面白いを選ぶ

人生は、選択の連続です。進学、就職、人間関係、そして日々の小さな決断まで。
どちらに進むか迷ったとき、「楽しいほうを選びなさい」と言われることがあります。
でも私は、「楽しい」より「面白い」道を選んだ方が、結果として良い人生になると感じています。
「楽しい」と「面白い」は、似て非なるもの
「楽しい」は、その瞬間が心地よく、ラクであること。
一方で「面白い」は、ラクとは限らず、むしろ大変で、苦しいことも含まれている。
それでも心が動く。視野が広がる。自分が成長している実感がある。
だからこそ、「面白い」は、人生にとって価値があると私は思います。
経営の現場こそ、面白さの宝庫
経営も同じです。
売上が順調なときは「楽しい」。でも、思い通りにいかないとき、壁にぶつかったときこそ「面白い」のです。
うまくいかないからこそ、知恵を絞る。人と対話する。新しい挑戦を始める。
そうやって得た経験は、会社の厚みをつくり、自分自身の視座を高めてくれます。
苦労は、いつか必ず自分の力になる
学生時代、部活や受験で必死に努力した経験がある人なら、「あの時があったから今がある」と感じたことがあるかもしれません。
その感覚に似ています。
しんどくても、自分で選んでやりきった経験は、じわじわ効いてくる。
そして何度も、人生の分岐点で自分を助けてくれる力になります。
あえて選んできた、しんどくて面白い道
私はこれまで、「あえて厳しい市場に挑む」「あえて人材育成に時間をかける」「あえて遠回りする」という選択をしてきました。
一見、非効率で損にも見える。けれど、その選択が最終的に「残る力」をつくると信じているからです。
数字では見えないけれど、確実に積み重なっていく“目に見えない資産”。それが、経営における“面白さ”の本質かもしれません。
ラクを求めすぎると、後悔する時が来る
最近は、「いかにラクに成功するか」が注目される風潮もあります。
でも、本質的な成長や納得感のある人生は、そこには転がっていないように思います。
ラクな道ばかりを選び続けた先には、「あれでよかったのか?」と自分に問いかける時間がやってくるでしょう。
人生を豊かにする選択のしかた
もちろん、ずっと苦しい道を歩めとは言いません。
バランスは大事です。
でも、もし迷ったときに「どっちが面白そうか」で選ぶ。
そんな選択を重ねていくことで、人生はより深く、豊かになっていくのではないでしょうか。
これからも、「実に面白い」人生を
私自身、これまでにたくさんの「しんどいけど面白い」選択をしてきました。
そのどれもが、自分を育ててくれたと実感しています。
だからこれからも、社員たちには「ラクじゃないけれど、面白いことをやろう」と伝えていきたい。
達成感や充実感は、たいていそういう仕事の中にありますから。
ドラマ『ガリレオ』の名セリフに「実に面白い」という言葉があります。
困難の中にある意味や法則を見つけていくプロセスは、仕事にも人生にも通じるものがあります。
人生は一度きり。だったら、「楽しい」だけじゃもったいない。
山あり谷ありでも、「面白い人生」のほうが、最後に「やってよかった」と思える気がしています。
今日もまた、面白い方を選ぼう。
これは……実に面白い。