初雪前に間に合う!暖房が“動かない”を防ぐ試運転ガイド
結論:暖房の不調を「初雪の日」に発見すると、現場もコストも大ダメージ。11月前の試運転で異常を洗い出せば、停滞ゼロで冬を迎えられます。本記事は工場・倉庫・事務所の業務用エアコン(パッケージ/ビル用マルチ)を想定し、準備→手順→判定→改善を“そのまま使える”形でまとめました。
目次
- 1. なぜ11月前に試運転が必要か
- 2. 試運転の前準備(安全・清掃・環境)
- 3. 実際の試運転手順(現場用)
- 4. 判定基準:OK/要観察/要修理の目安
- 5. よくある症状と一次対応
- 6. 冬前にやる改善メニュー(省エネ含む)
- 7. コピペで使えるチェックリスト
1. なぜ11月前に試運転が必要か
- 部品劣化の早期発見:夏の高負荷後は、ファン軸受・基板・配線の弱りが顕在化しやすい。
- 保全リードタイムの確保:部材手配・工事枠は繁忙前に確保すると安い・早い。
- 省エネ設定の仕込み:温度・スケジュール・外気運用のチューニングは中間期が最適。
- 安全確保:漏電・端子焼損など電気事故の芽は無負荷試験で潰せる。
2. 試運転の前準備(安全・清掃・環境)
目的:試運転中の機器破損・事故を防止する。
- 電源・安全表示:分電盤表示を確認。必要に応じて「試運転中」掲示。
- 目視点検:室内外機の汚れ・変形・配線被覆・端子箱の水濡れ痕・配管の擦れ/座屈。
- フィルター清掃:詰まりは風量低下→暖房性能不足・電力増の原因。
- 吸排気・吹出しの確保:天井荷物・外機前の障害物を除去。屋外機の周囲50cm以上を確保。
- ドレン確認:暖房時は室外機の霜取り水が出るため、屋外側排水の経路・凍結対策を点検。
3. 実際の試運転手順(現場用)
- 運転モード:暖房に切替。設定温度は26〜28℃目安、風量は自動。
- 短時間無負荷運転(5〜10分):異音/異臭/振動を確認。吹出温度が上昇し始めるか。
- 部分負荷運転(15〜20分):室温上昇、送風口温度(手元の簡易温度計)で35〜45℃程度を目安に確認。
- 室外機の確認:ファン回転の異常、霜・結露、振動、端子箱の発熱/臭い。
- 停止→再起動テスト:一旦停止し、3分後に再起動。リレー音や誤表示がないか。
- ログ記録:開始/停止時刻、室温、吹出温度、気づき事項を記録。
※圧力・電流・絶縁測定は有資格者の領域。異常が疑われる場合は専門点検へ。
4. 判定基準:OK/要観察/要修理の目安
- OK:立ち上がり良好、吹出温度35〜45℃、異音/異臭なし、エラー表示なし、端子箱の発熱なし。
- 要観察:立ち上がりが遅い、吹出30℃台前半、微振動・軽いこもり臭(初回のみ)。→フィルター/風量/設定の見直しを実施し再テスト。
- 要修理:エラー停止、焦げ臭、ブレーカー遮断、強い振動/金属音、オイル痕、配管霜付き。→即停止して専門点検。
5. よくある症状と一次対応
5-1 異臭(ホコリ/焦げ)
久しぶりの暖房で熱交換器やダクトのホコリが焼けるのは一時的なことが多い。換気を強め、フィルター清掃で改善。焦げ臭や端子箱の異常発熱は即停止。
5-2 暖まりが遅い/ムラが出る
風量が弱すぎる/吹出方向が悪い/外気の取り過ぎが原因。風向を下向き〜水平の間で最適化、Auto風量、外気量の調整で改善。
5-3 室外機から水が出る/音がする
冬本番は霜取り運転で室外機に水が出るのは正常。受け皿のヒーター・排水経路を事前点検し、結氷しやすい現場は対策を。
5-4 頻繁に止まる/エラー表示
センサー不良・基板劣化・冷媒不足など多岐。コードを記録して連絡すると診断が早い。
6. 冬前にやる改善メニュー(省エネ含む)
- 設定温度とデッドバンド:執務・軽作業は20〜22℃目安、冷暖切替幅は2〜3℃を確保。
- スケジュール最適化:始業30〜60分前に緩やか立ち上げ、終業は30分前に緩和でピーク抑制。
- 外気・換気:中間期は外気活用、真冬は必要換気量を守りつつ過多換気を避ける(CO2監視)。
- 室外機の位置/排水:風雪直撃を避け、防雪フード/ドレンヒーター/高置架台を検討。
- 電気安全:端子の締結・アース・漏電遮断器の動作試験を定期点検で。
7. コピペで使えるチェックリスト
基本情報:棟/階/空調系統/室内機No/室外機No/試験者/日時
- □ フィルター清掃 □ 吸排気障害物なし □ ドレン経路確認
- □ 暖房26〜28℃設定 □ 風量Auto □ 立上り5〜10分で吹出温度上昇
- □ 室外機:異音・振動なし □ 端子箱:発熱/臭気なし
- □ 停止→3分→再起動OK □ エラーなし
- □ 気づき事項/要対策 □ 再試験日