事務所・工場向け|中間期の省エネチェックリスト【今すぐ実践】
結論:春秋の中間期(外気が快適な季節)は、空調の設定見直しで、快適性を落とさず電力を大幅削減できるチャンスです。反対に「夏冬と同じ運転」を続けると、同時加熱・同時冷房・送風垂れ流しといった“もったいない運転”が発生します。本記事では、工場・倉庫・事務所など業務用の現場で、今日から実践できる手順をまとめました。
目次
1. なぜ中間期にムダが出るのか
- 設定の季節切替が遅い:夏冬の温度・スケジュールのまま稼働。
- 同時加熱・同時冷房:ゾーンごとに個別最適→建物全体では相殺。
- 24時間送風・強風固定:人がいない時間帯もファン回しっぱなし。
- 換気の過多・不足:CO2基準や外気条件を見ずに一定量で運転。
- 日射・放熱の未対策:ブラインド不使用、扉開放で負荷増。
2. 省エネ設定の要点(温度・風量・スケジュール)
2-1 温度設定とデッドバンド
- 冷房の目安:26〜28℃(執務・軽作業)。
- 暖房の目安:20〜22℃。
- デッドバンド:冷房と暖房の切替幅を2〜3℃以上確保し、ON/OFFの細かい反転を防ぐ。
- 未使用室は温度緩和:予備室・倉庫は“快適過剰”を避ける。
2-2 風量・ファン制御
- Auto優先:中間期は弱〜中風で十分。常時「強」は避ける。
- 送風連続の見直し:非占有時に送風を回し続けない(乾燥や過冷却の原因)。
- フィルター清掃:圧損低減はファン電力と性能に直結。
2-3 スケジュール・居室連動
- 起動は“緩やか”に:始業30〜60分前から緩やかに立ち上げ、ピーク電力の跳ね上がりを抑える。
- 停止前クールダウン:終業30分前に設定温度を緩め、余剰冷熱/余剰顕熱を回収。
- 人感・タイマー・予約停止:会議室・休憩室は在室検知でオンデマンド化。
3. もったいない運転チェックリスト(8項目)
- 冷房28℃/暖房20℃の目安に切替えているか。
- 冷暖房のデッドバンド2〜3℃以上を確保しているか。
- 会議室・更衣室は在室連動か。
- 送風連続運転をしていないか。
- ブラインド・扉の開放で外乱を入れていないか。
- フィルター汚れで風量不足になっていないか。
- CO2センサーを見て換気量を調整しているか(過多・不足の両方に注意)。
- 中央監視・BEMSで同時加熱・同時冷房が出ていないか。
4. 導入ステップ:2週間で効果を見える化
- 現状把握(3日):電力計・温湿度・CO2を簡易ログ。過剰運転の時間帯を把握。
- 設定変更(当日):温度・デッドバンド・スケジュール・送風・換気を前述ルールへ。
- 外気活用試行(1週間):外気が良い日に外気フラップ開度を段階調整。問題(粉じん・騒音)が出たら時間帯を見直し。
- 結果確認(3日):同条件日のログ比較。ピーク電力・平均室温・CO2が基準内なら採用。
体感改善(ムラ減少・こもり感の解消)とピーク削減の両立を狙いましょう。