フロンガスの環境影響を最小限に:フロン排出抑制法の基礎知識

はじめに

ブログをご覧の皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
9月に入り、朝晩の気温がグググっと下がり、いくぶんか過ごしやすくなりました。
朝晩と日中との気温差が大きいので、体調管理に留意したいところです。
さて、今日は空調機器を取り扱う空調設備業にとってとても大切な『フロン排出抑制法』について書かせて頂きます。
お時間があれば最後までお付き合いください。

フロン排出抑制法の基礎知識

フロンガスは、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒として広く使用されてきましたが、温室効果ガスとしての影響が問題視されています。フロンが大気中に放出されると、オゾン層を破壊し、地球温暖化の進行を加速させる可能性があります。こうした環境への影響を抑制するために、日本では「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(フロン排出抑制法)が制定されました。本記事では、この法律の基礎知識とその重要性について解説します。

フロン排出抑制法とは?

フロン排出抑制法は、フロン類の排出を抑え、環境への影響を最小限にするための法律です。この法律は、事業者がフロンを含む機器を適切に管理し、フロンガスの漏えいを防ぐことを目的としています。具体的には、業務用冷蔵庫、エアコン、冷凍機器などに使用されるフロン類を対象とし、その排出を削減するための管理体制が求められます。

フロンガスの環境への影響

フロンガスは、特にオゾン層破壊温室効果の2つの大きな環境影響を持っています。フロン(CFCやHCFC等)が大気中に放出されると、紫外線によって分解され、オゾン層を破壊する化学物質を生成します。これにより、オゾン層の保護機能が損なわれ、地球の温暖化が進行します。代替フロンであるHFCは塩素が含まれないため、オゾン層を破壊することはありませんが、 CO2の数百倍から数千倍の温室効果があることが分かっています。

フロン排出抑制法のポイント

1. 機器の管理とメンテナンス

フロンガスを含む機器を適切に維持・管理することが必要です。これには、定期的な点検と修理が含まれます。特に業務用機器は、フロンの漏えいを防ぐために厳密な点検が義務付けられています。
〈点検の頻度〉
・7.5㎾以上~50㎾未満の機器 : 3年に1回の定期点検 + 3ヶ月に1回の簡易点検
・50㎾以上 : 1年に1回の定期点検 + 3ヶ月に1回の簡易点検
〈確認方法〉
エアコンの室外機に機種名などが載っている「銘板」と呼ばれるステッカーが貼ってあります。今回はダイキン工業製の機器で確認してみます。

上記の画像の中央付近にグリーンのマーカーで示した「圧縮機 5.95kW」という表記があります。この数字が基準となります。

2. 定期点検の義務化

業務用冷凍・空調機器は、使用中にフロンガスが漏れていないか定期的に点検を行う義務があります。これにより、フロンの無駄な放出を防ぎ、機器の効率性を保つことができます。

3. 修理と廃棄

フロン漏えいが発見された場合、速やかに修理を行う必要があります。また、機器を廃棄する際には、専門業者によってフロンの回収を行い、適正に処理することが義務付けられています。

4. 報告義務

一定量以上のフロン漏えいが発生した場合、企業はその内容を所轄官庁に報告しなければなりません。これにより、フロンの排出を厳密に管理し、環境への影響を最小限に抑えます。

企業が取り組むべき具体的な対策

企業がフロン排出抑制法を遵守するために実施すべき具体的な対策には、以下のようなものがあります。

  • 点検の徹底 : フロンを使用する機器の定期的な点検とメンテナンスを実施する。
  • 教育とトレーニング : フロンの管理に関わる従業員に対し、フロン排出抑制に関するトレーニングを行う。
  • フロン回収の確実な実施 : 機器廃棄時に、専門の回収業者を利用してフロンの適正処理を行う。

フロン排出抑制法の今後の展望

地球環境を守るための取り組みは年々強化されています。フロン排出抑制法も、今後さらに厳しい基準が設けられる可能性があり、企業の責任も増大するでしょう。特に、省エネや代替冷媒の利用促進が求められる中、事業者は持続可能な事業運営のために、法令をしっかりと理解し、適切な対策を講じる必要があります。
また、フロン管理に関しては信頼できる業者を選ぶことが重要です。私たち中部空調サービスは、フロン類を含む機器の点検やメンテナンスにおいて高い専門性を持ち、確実且つ適切な対応を提供しております。フロン排出抑制法への対応にも安心してお任せください。フロンの回収の実施からフロン破壊処理証明書の交付まで確実・適確に実施しています。


※2022年8月にフロン排出抑制法が改正され、目視による簡易点検の代替点検方法として、「冷媒漏えい検知サービスによる簡易点検の自動化」が認められました。

まとめ

フロン排出抑制法は、企業がフロンガスの排出を抑え、環境負荷を軽減するための重要な法律です。フロンの環境への影響を最小限に抑えるため、定期的な点検や修理、適切な廃棄が求められています。今後もこの法律に基づく対策が強化される可能性が高いため、企業は適切な管理体制を整え、環境保全に努めることが重要です。

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